Roomclipに聞く、ふつうの人の、ふつうの生活にある創造性

17.10/10-Tue/生活の知恵

「普通のひとの普通の生活の中に隠れてる創造性みたいなものを、僕は侮っていました」。眼差し鋭くこう語るのは、インテリアSNSRoomClip」を手がけるTunnel株式会社のCEO高重正彦さん(写真右)。今年の73日には、8億円の資金調達を発表し、ますます勢いに乗るRoomClipのこれまでと、これからをお聞きしました。

 

 

–もともとは、どういった経緯でこのサービスを創業したんでしょうか。

会社自体は、201111月に創業しました。2011年と言えば、すぐ思い当たるように東日本大震災が起こった年です。実は、僕の実家は福島県いわき市でした。直接的な被害はなかったものの、実家を引き払いました。それまで自分の地元に対する愛着感とかって比較的薄いタイプでしたが、いざ自分が幼い頃から育ってきて、時間をかけて住んで来たものがなくなるとなると、喪失感を感じました。そんな時に、ひとの家の中って、思った以上に他の人は知らないよなって、思ったんです。スマートフォンが当たり前になって、SNSが出てきた中で、人々が日々暮らす、住生活を共有するサービスはありませんでした。ありとあらゆるものがインターネットに接続されはじめた当時の流れからしても、これから5〜10年経った時に、人々の暮らしの様子がインターネットに接続されていないわけはないと思ったんです。どちらかというとマクロ的な視点もありつつ、サービスを作ることになりました。

 

 

–それがRoomClipのスタートということですね。

そうですね。開始当初は、全然ユーザー数も集まらずで。明確なユーザー像も決めかねていました。ただ一年続けてみると、すごく熱心に利用していただけるユーザーさんがちらほら出てきました。そうしたユニークユーザーに直接お会いしてみると、誤解を恐れずに言えば、とにかくふつうの人でした。東京などの首都圏ではなく、地方都市の郊外に住んでいる奥さんが、工夫を凝らしたすごく素敵な部屋を作り出していて。正直、普通のひとの普通の生活の中に隠れてる創造性みたいなものを、僕は侮っていたことに気づかされました。家の中をどれだけ素敵にしても、基本的に家族以外の誰かに見てもらう機会ってそんなにありません。でも、手をかけて作り上げたものって、人に見せたくなりますよね。そこに可能性を感じました。100円均一のアイテムを使ったり、古い材料をリユースしたりするDIYだったりっていうおもしろいアイデアは、何もしなければ埋没してしまいますから。

 

 

–もともと起業を意識していたりしたんですか。

いや、全然そんなことはなくて。ただ、中学生くらいから「革命家」になりたいと思っていました。ただ、どうやったら革命家になれるんだろうって思いつつ(笑)

前職はITの会社で、悪い環境ではなかったんですけど、「このままこの会社で仕事していても少なくとも、俺は革命家になれないぞ」と思って辞めました。何かあてがあったわけではなかったんですが、学生時代映画を作ったりしていたので、仕事も辞めたし、久しぶりにやろうと。だから最初は、どちらかというとアーティストのような感じで、自分で撮影した東京の動画をアプリで配信するような謎のアプリを作ったりしたり。そのあと、前述したきっかけもあって、RoomClipのコンセプトを作ることになりました。スタートアップ業界に来てよかったと思うところは、何しろ僕は革命家になりたかったので、革命家って短期間で大きなインパクトを社会に与えるイメージがあって、スタートアップビジネスとは相性がいいんですよね。それこそベンチャーへの投資する方々との目線の一致で言うと、投資家のみなさんって「短期間で急激に成長しましょう」っておっしゃるわけです。それは僕は心の底から同意できるわけです。短期間で急激に成長するってすごく不自然なので、僕と共同創業者だけだとそんな風にしようとは思わないんですけど、そこに違うステークホルダーが関わることで結果的に良かったと思います。

 

 

–今年の7月初旬には、8億円の資金調達を発表しました。資金を獲得できた要因はどのようなポイントでしょうか。

僕の中では創業したときも今も同じ確信をもっているんですが、このモデルって、サービスを開始するにあたり、投稿を集めなきゃいけなくて、投稿を集めたあとに閲覧を集めなきゃいけなくてっていう長いプロセスが必要で。この長いプロセスをしっかり踏んできたことと、売り上げも安定してきたことが、投資家の方々に評価されたのかなと思いますね。明確なポジショニングっていうのもあります。エンドユーザーから見た時に、あったら絶対欲しい情報だと思うんです。具体的に言えば、あるモノを買おうとしたときに、それを先に買った他のひとは、どういうふうに使っているのかって、もし見れるとしたら、知りたいと思うんです。そうなると、購買の意思決定プロセスの中で、必ず通ってもらえるサービスになることが必要ですし、そこは実現できるものだと思っています。

結果的に、時間と根性かかっているぶん、住という領域で競合がいない状況を作り出せると思っています。

 

 

–将来的には、閲覧してそのまま買えるような住まいのECプラットフォームを目指しているのでしょうか?

いや、僕らは、自分たちでECを持つのではなくて、ECへの送客でいこうと思っています。もしECをはじめて、自分たちで商品を抱えて扱うようになると、もともとのサービスのコンセプトとのバッティングが起きると思っていて。というのも、例えば、ある商品の粗利が極端に低いとしても、多くのRoomClipユーザーが選んでいる商品だったら、他のユーザーさんが欲しい商品になり得るわけじゃないですか。売るとこまでやってしまうと、そうしたニーズはあるんだけど、利益の出づらい商品を扱えない可能性が出てきてしまう。なので、繰り返しになりますが、自分たちではECを持たずに、送客をやっていく形になります。ただ、ECで扱っていないようなキッチンやバスといったメーカーの住宅設備に関しては、別の収益モデルを作って扱っていければと考えています。家具とかに比べて、住宅設備って大手がかなり強い状況で、かつ上から10社くらいの会社様とはすでにお付き合いさせていただいているので、商品データをお預かりするっていうところまでは現実的に見込めると思っています。そこから先のRoomClipのユーザーさんが、「これいいな」と思って住宅設備の写真をクリックしたあとに、どういうステップを踏んでいくのかってところで、いくつかのパターンがあるかなと。資料請求に繋げるのか、ユーザーさんの位置情報から近くの工務店に依頼がくるのか、っていう風にですね。もちろん、どこでマネタイズしていくかもパターンがありますね。

 

 

–Facebookの広告モデルのように、RoomClip上で気軽に広告を作成したりできれば、リノベーションを行う事業者も利用していくように思います。

そうですよね。広告のプラットフォーム化に関しては、もう少し先かなと思っています。ユーザー全体のボリュームがFacebookの広告モデルのようにするには、少し小さいかなと。もっているユーザーデータの活用と技術的な側面もまだ整備できていないので。そこは丁寧に整えていきたいとは思っています。

 

 

–RoomClip内にWebマガジンがありますが、その狙いについて教えてください。

月間300本くらいはアップしています。いわゆるキュレーションサイトさんとかと比べれば、全然少ないです。ただ、うちの「RoomClip mag」というWebマガジンは、それこそSEOや閲覧者を増やすのが主目的ではないんです。このマガジンで使っている写真は、すべてRoomClipのユーザーさんが投稿したものです。一番の狙いは、RoomClipに投稿してくれた方に喜んでもらうということです。もちろんユーザーさん同士でのコミュニケーションでRoomClipを楽しんでもらうっていうのがベースにある上で、自分の投稿したものが記事になって、いままで繋がっていなかった人から「いいね」だったりコメントをもらったりすることって、嬉しいことだと思います。それを狙っています。300本のうち、5060本は、実際にメールで取材もしています。

 

 

–RoomClip内でのキーワードトレンドはどんな状況ですか。

〇〇な暮らしっていう、「暮らす」っていう単語が入ったキーワードが多いです。「犬のいる暮らし」とか「子供と暮らす」とかですね。これはわかりやすいと思うんですが、住生活を自己表現の場として使うっていうのが、今まで以上に一般化してきたということかなと。僕らがこのサービスをはじめた時には、instergramも日本で普及していなかったし、そもそも自分の家を自己表現に使うような人って、ほとんどいなかったように思います。そこが最近は変わってきたかなと。あとはもちろん、リノベーション関連のキーワードも全体の勢いを上回るペースで伸びてますね。自分がリノベーションした家の写真を投稿するユーザーさんもいるんですが、むしろ、これからリノベーションをしようっていう時に、RoomClipで検索をする方が多いですね。リノベもそうですが、家を建てる時には、ある程度イメージを作っていかないといけないですよね。そのイメージ形成のプロセスに使っていただいているかなと。そして、自分の住まいが完成した時に、いままで閲覧者だった人が投稿者側になっていくんです。

 

 

–キーワードに関わってですが、RoomClipを立ち上げられた頃から現在までの3〜4年での消費者の住に対する感覚の変化はどのように感じますか?

ロハスだったり、グリーン、リノベーションっていうものって、一般の人からすると、イメージに過ぎないと思っていて、イメージってブランドみたいなもので、そこから先、そんなにマスに進んでいかない印象です。そうしたものをローカライズして自分の生活に当たり前に取り入れる人が出てくることで、マスに広がっていくと思います。僕らのような事業者をはじめ、SNSが普及してきたことによって、これまで、とっつきづらかったブランドコンセプトのようなイメージを身近に感じることができるチャネルが増えて来たのが最近かなと。ぼやっとしたイメージの細分化だったり具体化がはやくなったっていうことですね。僕はそれは、すごくいいことだと思っています。

 

 

 

–エンドユーザー向けには、今後どんな動きをとっていきますか?

日常の創造性を応援するっていうのが、僕らの会社のミッションなんですが、それって、話の繰り返しになりますが、普通の人の普通の生活のなかに隠れている創造性が世の中に広がることで、みんなが創造できるような生活を作っていくということです。それをどれだけ広げていけるか、どれだけ便利にできるかをこれからも探求していきます。いまは、インテリア好きな人と、インテリアを変えようって決断している人が、ユーザーさんの大半だと思っているんですが、もう少し広い、まだそこまで自分の憧れのイメージをもっていない方も「RoomClipに来れば自分の叶えたい生活が見つかる」っていうふうに広げていきたいですね。あとは、ちょっと日々の生活に不満があるような人、改善したいような人に対して、250万枚のストックを使って、検索であったり、おすすめするような機能をもっと強化していきたいと思います。

日本最大の県、いわてけん出身の、週7で聞く深夜ラジオが好きな20代。インタビューを中心に、やわらかく書いていきたいと思います。
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